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株で絶対に負けない方法は「株をやらないこと」です。
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朝起きてからずっと頭が痛い。
 
昨日は帰ってくるなりわけがわからんほど酒を飲んだ。
なんだろうな、初の追証を経験して株価の動きが心配というのもあるんだろうが、それ以上に美砂のことが気になって仕方がなかった。
でもなんで今更美砂のことなんて。
 
見合いがどうのと言っていたのは、確かにショックではある。
でもそれは美砂だからというより、身近な誰かがという意味でのショックだ。
百田はまだ付き合いが浅いから、プライベートな話を深く聞いたところで関心は薄いのかもしれないが、たとえば数年同じ職場で配達員をやっている誰かが昨日聞いたような話をしてきたら、少なからずショックを受けるだろう。
 
だってそうじゃないか。
見合いで遠くに行くなんてことになったら、営業所からはまた人員が減ることになる。
今でさえ業務運行に支障が出ているというのに、この流れに拍車がかかることになる。
 
当然しわ寄せはオレにも来るだろう。
斉藤の穴を埋めるだけで手一杯だというのに、これ以上何かあってみろ。
いかに死力を尽くしてやったとしても、てんてこ舞いのてんてこ舞いでどうにもならなくなることは必至。
 
オレは単にそれを心配しているだけだ。
 
美砂はコールセンターの人間とはいえ、一応営業所の人員の一人には数えられている。
トラックで荷物を配達することはないが、業務を円滑に進めるために一役買っていることは間違いない。
以前の斉藤の一件のように、管理者に持っていくと処分は免れないようなクレームも、自分で対応できる範囲なら融通を利かせてうまくやってくれる。
それが美砂というお局様候補だ。
 
オレだって美砂に助けられたことはある。
 
荷物に貼付されている時間指定を見落としていて、午前希望のものを夕方に持っていってしまった一件。
あのときは仕方なく不在票を夕方の時間帯で切ることになってしまったわけだが、客からついたクレームを美砂が一時間近くも謝ってくれたおかげで事なきを得た。
当然、まぁ昼飯ぐらいは奢らされたわけだが、管理者にネチネチ言われるよりは何倍もマシだ。
「私に感謝しろよ」だなんて美砂は調子に乗っていたが、助かったことは事実なのでオレは何も言えずに、まずい昼飯を一緒に食っていた。
その美砂が、抜けるかもしれないと思うと、今後厳しくなりそうなのは想像に難くない。
 
ああ、困るな。
これは確かに困る。
 
美砂がどうこうじゃない。
いや、美砂がどうこうなのか。
 
コールセンターの代わりはどうせアルバイトだから、募集をかければすぐに来そうなものだが、美砂ぐらい機転を利かせてうまい対応をしてくれる人が来るとは限らない。
面倒な案件をそのまんま上に放り投げられるなんてマネをされたら、やりにくくなることはまず間違いない。
 
そう、これだ。
使える人員がいなくなるかもしれないというのが困るだけなんだ、オレは。
 
「九電さん? 大丈夫ですか。顔色悪いですよ」
 
朝も早い時間から百田に心配されるとは情けない。
昨日しこたま飲んで二日酔い状態だから、相当白くなっていそうだな、オレ。
 
「大丈夫だ、大丈夫。それより美砂を知らないか? 今日は出勤のはずだけど」
「え? 今日の美砂さんは、午後からの出勤じゃありませんでしたっけ?」
 
そうだったか。
最近は朝の出発前に何かしらの面倒話を持ってくるから、てっきり今日も午前出勤なのかと思っていた。
 
というか、この時間帯に何か言ってくるのなんて美砂ぐらいのものだからな。
配達員が忙しく準備している中、無遠慮に寝癖つきの頭で話しかけてくるのなんてアイツぐらいだ。
 
しかし来なかったら来なかったで、なんか気になるな。
いや、出勤の都合上、こういう日もあるし、特別なことじゃないはずなんだが、何となく。
どうかしてるか、今日のオレ。
 
 
 
今日は業務量からいって、特別忙しくないのが幸いした。
トラックの中では気がついたら株ツールを見るようにしていて、追証が差し入れた金の範囲で済むのかどうか、逐一チェックしていた。
 
しかし、もうこれはどうにもならんね。
裏目裏目というか、戻していく気配がまるでない。
よりにもよってオレの選んだ銘柄に限って悪いほうへ動いていく。
インデックスが上げ下げしている以上にオレの損が膨らみ、いよいよ退場か、みたいな嫌な想像が頭をちらつく。
 
しかし耐えるべきか、ここは。
元より追証に対して金を差し入れた時点で粘る覚悟はつけたようなもの。
オレの資金が底をつくより早く、株価が戻していくほうにかけているわけだ。
 
見たってしょうがない。
ここでヒヨってドテンなんてしようものなら、それこそヤツらの思う壺。
単に損するならまだしも、往復ビンタで余計に負けるなんて、最悪も最悪。
それだけは絶対に避けたい未来だ。
 
とはいえ、こんなことをしていて何になる。
オレは何のために株なんかやっているんだ。
 
昨日、美砂の財布を見たとき、オレは何を思った?
あの大金を見て、借りたいと思ったか?
あれでもっとでかい勝負ができるなんてこと、思ったか?
 
いやいや、思わない。
全く以って思わなかった。
 
オレは一攫千金を夢見る斉藤とは違う。
大儲けして仕事を辞めてやろうとか、そんなことは考えていない。
 
じゃあオレは……。
何のために株なんかやっているんだ。
 
「退屈、だったからかな」
 
セブンイレブンの駐車場にトラックを止めて、オレは誰にともなく呟いた。
 
退屈だったから。
実のところこれが一番しっくり来る。
 
今まで競馬もパチンコもやってこなかったオレにとって、世界中の投資家が躍起になって見る株価の動きは魅力的過ぎた。
男子校に三年通った健康な男子が、初めて女子の手を握ったときの感動、みたいなものかな。
全く関わってこなかった知らない分野の中で、もっとも規模の大きい世界を知っただけのこと。
刺激のない毎日の中で、少し楽しみにできたり不安になれたりする何かが欲しかっただけのこと。
だからオレは株なんて……。
 
自嘲気味に一人で笑った。
 
退屈しのぎにストレスを溜めているんじゃ世話はない。
これで儲かっているならまだしも、大損して、アルバイトの美砂に「金を貸そうか?」とか言われてるなんて、とんだバカ野郎だよ、オレは。
 
 
 
午後の配達が終わって、20時過ぎ。
ここ最近を振り返る中じゃ早く終わったほうなんじゃないかと。
ロッカーで着替えている配達員の面々も和気藹々とした雰囲気だ。
いつもみたいに疲れきって、ひと言も発さず、黙々と帰り支度をする様を思えば、今日みたいな日が続けばな、と思うのも致し方なしといったところ。
 
オレは屋上に行って、携帯の画面を眺めていた。
 
普段と変わらない緑一色の銘柄たち。
掲示板のほうは相変わらず敗者たちの絶叫で溢れ返っていて、下手なヤツはどんな相場でも負け続けるんだな、というごく当たり前の現象をオレに思い出させる。
 
オレが株を始めたのは去年の8月だった。
あとひと月もすれば、株暦一年となり、感慨深い気持ちにもなる。
 
社員一年目といえば、結構な苦労もした。
入ったばかりの頃は右も左もわからずに周りに迷惑をかけ続けたが、一年を通して経験してきたことというのは、何にも増してオレの血となり肉となっている。
 
どんな仕事でもそういうものだろう。
最初の一年というのは、今後の仕事をする上で基盤となる一年だと思う。
 
しかし株についてはどうだ。
色んな人がいるんだろうが、オレにとっての一年目は最悪だった。
 
総資産がプラスとなる一瞬なんて、最初の数日だけだった。
10月に経験した大損、その後の緩やかな戻し、そして今に至るまでの大損。
資産の増減において、今日という日が最悪というのは嫌でも株を始めてしまった後悔にと繋がる。
今更こんなことを考えていても遅いんだろうが、損をするたびにアミや美砂がオレに言った「株、辞めたら?」という言葉が思い出されてしまう。
 
今日こそは、今日こそは、と思い続けて、今日も大損。
挙句の果てに、迫る追証に向けて金を差し出し、さらに粘る覚悟をつけているなんていう始末。
救えねぇな、オレ。
 
考え事をしていたら、結構な時間が経っていた。
オレは屋上から降りて、営業所から外へ出る。
 
駅前のタクシー乗り場まで来たところで美砂を見つけた。
向こうもオレに気がつき、子供みたいに両手を振る。
 
「お疲れー、九電君! 今帰り?」
 
昨日の表情なんてどこ吹く風。
駅に行こうとしていた美砂は、いつも通りの美砂だった。
 
「お前と帰りが一緒になるなんて珍しいな」
「そうだね、ひょっとしたら初めてかもしれないよ?」
「美砂はどこまで乗るんだ?」
「何言ってんの。九電君と同じ駅じゃん」
 
そうだったか。
ああ、でも言われてみれば。
 
美砂とオレは同じ中学の出身で、お互い地元を出ずに一人暮らしをしているわけだから、同じ駅なのは当然か。
今更何を言っているんだ、オレは。
やっぱり今日はおかしい。
 
降りる駅までは五つ程度なので、電車を待っている時間を入れても30分程度のものだ。
しかしオレは隣に美砂がいる時間を現実以上に長く感じていた。
 
美砂は多少世間話のようなものを振ってきたが、大して興味のある話でもない。
オレが適当に相槌を打って聞き流している様子を知ると、次第に口数が減っていく。
オレもオレで何を話していいのかわからず、嫌な沈黙を長時間味わうことになった。
 
「会話のない空気に耐えられる関係が親しい間柄」なんてことを聞いたことがある。
これは確か友情の話だったと思うが、それによるとオレと美砂が友情で結ばれているなんてことはないらしい。
 
こういう沈黙を打ち破るのには勇気が要るものだ。
たぶんそれはお互いが感じていたことだろう。
 
何かしらのきっかけが欲しいなとは思っていたが、自宅の最寄駅に着くまでそれは訪れず、改札を通る瞬間までオレたちは何も話さなかった。
 
駅を出てすぐ、オレたちは同じ方向に歩く。
駅までは自転車で、という通勤の仕方をしている人は結構多いと思うが、オレも美砂も駅周辺に住んでいるせいか、自宅まで徒歩だった。
居づらい雰囲気は思っていたより長く続いた。
 
職場で誰彼構わず無駄話をしている美砂がこんなに長時間黙っているところは初めて見たかもしれない。
何か話せよ、と願ったわけではないが、沈黙を打ち破ったのはやっぱり美砂のほうからだった。
 
「九電君って、どこに住んでるの?」
「そこのアパートだよ。お前は?」
「えっと、そのアパートを過ぎて、二つ信号を越えたところかな」
「近くだな」
「近くだね」
「…………」
「…………」
「なぁ」
 
オレが立ち止まると、美砂は余計に三歩ぐらい歩いてオレを振り返った。
 
「暇だったら、家に来ないか」
 
 
 
「うわぁ、凄い散らかってるじゃん。たまには掃除しなよ」
「お前の部屋は片付いてんのか?」
「ううん、一緒ぐらい」
「だったら言うな」
 
指摘されるほど散らかしているわけではないが、洗濯が面倒で、服を畳むのが面倒で、その辺の衣服が脱ぎっぱなしにされている状態は認めざるを得ない。
しかし使った食器の類が異臭を放つのは嫌なので、食事の後片付けについては割りとこまめにやっているつもりだ。
 
美砂は「こんな部屋に女の子を上げるなんて」とか何とか言いつつ、オレの服を勝手に畳んでは部屋の隅に置いている。
敷いていた布団に寝起きの跡がついていることに文句がないのは、美砂の部屋でも同じ現象が起きているからだろうと勝手に想像した。
 
「おおっ、これがブログでたまに登場する株神様の御神体か!」
「勝手に触るなよ、それなりに高かったんだから」
「アラエッサー、ボエボエー、オレノポジー、モウカレモウカレー」
「何やってんだよ」
「いや、こう言っておけば金運が上昇するのかなって」
「するかアホ。あれはブログに書くからこそ価値があるんだ」
 
ありがたそうに両手で拝む美砂にオレは適当なことを言った。
招き猫の御神体を購入してからのオレの成績を考えれば、アレが金運の上昇に一役買っているとはとても思えない。
毎日拝むより、美砂から小バカにされているほうが実はお似合いなのではないかと思うぐらいだ。
 
オレはお茶でも入れようかと台所に立つ。
美砂は「別にいいよ、気を遣わなくて」と言うが、冷やしていたウーロン茶がなくなりつつあったのでオレはちょうどいい機会のように思っていた。
 
「職場で見る九電君となんか違うね」
「お前、ブログのコメントでもそんなこと書いてたな」
「うん、制服を着てないときの九電君は私にとっては新鮮。毎日顔合わせてるのにね。知らないことばっかりって、なんかおかしいよね」
「知ってるほうがおかしいと思うけどな」
「中学のときさ」
 
ポットを開くとお湯がなかった。
オレは仕方なくやかんに水を入れて火にかける。
 
「九電君、私と同じテニス部だったよね。なんでテニス部に入ったの?」
「言わなかったか。親が運動部に入れってうるさかったんだよ」
「でも野球部とかサッカー部とか陸上部とかあったじゃん」
「その辺は練習がキツそうに見えたからな。あと運動は苦手だったから試合には出たくなかった。テニス部なら玉拾いだけやってれば、所属できるだろ」
「あはは、変な考え」
「お前はどうなんだよ」
「私? 私は頑張ってやってたよ。仲良かった友達がテニス得意だったから」
「でもお前もオレと一緒に玉拾いばっかりやってたよな」
「うー、私が下手だって言いたいの?」
「上手かったらもっと試合に出てるはずだろ」
 
テニス部は男子と女子でコートを分けられていた。
といっても離れているわけではなく、校舎内にある四面のコートを左から順に女子、女子、男子、男子、と割り当てられているだけのものだった。
 
玉拾いといえば、コートの外側に陣取って飛んできた玉を選手に投げ返すのが仕事だ。
オレと美砂は毎日のように同じポジションを取って、同じ仕事を繰り返す日々だった。
 
練習に参加してしごかれるよりは、と進んで玉拾いに興じていたオレと違って、美砂は実力の関係上、主力から外された要員の一人だった。
さすがに三年に上がる頃には、個人試合のいくつかに参加したりはしていたが、美砂が練習で活躍しているシーンをオレは見たことがなかった。
 
「私ね、毎日玉拾いばっかりやってる九電君を見てて、九電君も私と同じ落ちこぼれなんだ、って思ってた」
「まぁ落ちこぼれには違いないな。ろくに練習もしてないオレがテニスの試合で勝てるわけがないし」
「でもなんかさ。九電君はあのときから自分の居場所を知ってて、それを守っているみたいだった」
「ははっ、玉広いが居場所か。最高だな、オレもお前も」
「同じことしてても、私とは全然違うよ。私は自分の居場所が見つけられなかったからお見合いに行くんだ」
 
ポットにやかんの湯を注ごうとしていた手が止まる。
美砂のほうを見ると、美砂は顔を抑えて泣いていた。
 
「九電君、格好いいね。どんなときも自分の世界を持ってる。いつもやりたいことをやってる。仕事だって自分にできることを見つけて正社員になれた。私にはできないよ。私には」
「美砂」
「お見合いなんて行きたくない。独りぼっちになりたくない。ずっとここにいたいよ」
「美砂!」
 
アパートの前で、美砂がオレの誘いに乗ったときから、こういう予感はあった。
いや、予感というなら昨日美砂と屋上で話したときからか。
二日酔いの抜け切らない頭は、本当に思い切った行動をさせるものだ。
美砂の身体がオレの体重で布団の上に沈み込む。
 
「見合いには行くな。お前はコールセンターの仕事をしてろ」
「だけど、私はもう」
「居場所が見つからないなんて嘘だ。江坂さんの送別会も、百田の歓迎会も。お前が仕切らないと始まらないだろ」
「九電く」
 
美砂に覆い被さって口を塞いだ。
カチッと歯が当たる。
 
美砂が身を固くしていたのは最初だけだった。
オレは美砂の全身から力が抜けていくのを感じ取った。
 
「オレのことを軽い男だと思っているか?」
「ううん。でもアミちゃんのほうが可愛いけど、私でいいの?」
「お前はそんなこと言ってるから本気になる男が現れねぇんだよ」
 
オレは今まで面倒なことを避けてきた。
自分独りの時間が好きだったし、誰かを抱くことで束縛されるのが嫌だった。
 
過去に付き合った女もオレから強く求めたことはなかった。
自分に負担にならない範囲というのをよく考えていたように思う。
考えや価値観が合わなかったりして何かを強要されるようなことがあれば、自分から距離を置くようにしていた。
 
相手に合わせるのは、どんなときも苦痛だった。
自分と歩幅の合わない相手は男女を問わず嫌いだった。
オレはどんな場面でもオレでいたかった。
 
死ぬまで変わることのないと思ったこの考えも所詮は理性の表面を飾っていたに過ぎないということか。
欲を持て余す若い頃と違って、いちいち異性に反応したりはしなくなったはずだが、目の前のバカな女に抱く生まれて初めての感情はオレを突き動かすのに十分だった。
 
「九電君、最初からこうするつもりだったんでしょ」
 
オレの腕の中で美砂が悪戯っぽく笑う。
 
「そうやって一時の感情に流されて株をやるから失敗するんだよ?」
「お前は危ない橋を渡ることがなかったから、今日まで売れ残ったんだろうが」
「そうだね。でも私の判断は正しいよ」
 
美砂の手がオレの首にかかる。
 
「15年来の願いが叶う人なんて、なかなかいないもん」
 
美砂が目を閉じたとき涙が流れた。
さっきの美砂は悲しくて泣いていたはずなのに、この瞬間の意味するところは違う気がした。
 
 
 
台所に立つ美砂は「何がいい?」とオレに聞いたところで、食材の乏しさを知ったようだった。
一丁前に料理ができるみたいなことを自慢していたが、材料がなければ何もできまい。
二日に一度はカップラーメンを食べているオレの部屋で、特技を披露できると思ったら大間違いだ。
 
しかしそれでも多少の有り合わせを使って、それなりの作品を仕上げるところはさすがといったところか。
斉藤を飲みに誘う以外で誰かと夕食をとることはまずないので、いつになく新鮮な気持ちだった。
美砂は何が嬉しいのか食事の間中ずっとニコニコしていた。
 
オレのアパートの前で「シャワーぐらいは貸して欲しかったな」と美砂は不満を言う。
普段は寝癖の髪すらろくに整えてこないくせにそんなことを気にするのかとオレはおかしくなった。
美砂は「送るよ」と言ったオレに手を振って夜の道を歩いていく。
今更送り狼も何もないだろうに、とオレは思ったが、美砂の背中が見えなくなる頃には大人しく部屋に引き返していた。
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